
海の見えるいつものカフェ
岸壁には既に1台のバイク
こっちを向いたライダーに会釈したら返してくれた
入口に向かうと声をかけてきた人がいた
赤いバイクのライダーだった
「さっきのバイクの方ですか?あのバイクは何ていうバイクですか?」
「250TRというカワサキのバイクです」
「ぼくももう1台ああいう感じのバイク持ってるから気になって」
「そうですか。あの、おばあさんですいません💦」
窓辺の席は開店早々なのにけっこう先客がいてカウンターも半分くらいうまっていた
そして私が気に入っている雰囲気とは違っていた
おまけにワンコインだったモーニングセットが値上がりしていた
先に席についていた赤いバイクのライダーの隣に座るべきなのか少し悩んでひと声かけてから離れた席に座った
ホットドッグにかぶりついていると赤いバイクのライダーが隣にやってきてしばし歓談
何と、以前ここで見かけた、印象深い隼のフォーリナーと知り合いだとわかった
彼はフランス人で、最近人生初のスピード違反で捕まりかなり落ち込んでいるとか
あの日、この店に来る少し手前にあるアップダウンの小さなカーブで後方から来たバイクを先に行かせようと減速したが追い抜いて行かず距離を開けて走ってきた隼だ
「違反しない方が危険ですよね」
などと言い始めた私と返答に困ったライダーの会話がぎこちなくなってきた頃
赤いバイクライダーはこれから息子を学校まで乗せていく用事があるからと先にカフェを出た

カウンターから防潮堤の前で身支度して走り去るライダーが見える
たぶん、と思ったら、やはりそうだった
発進する直前、彼はこちらを見て片手を上げた
私も手を上げた
紳士だなあ
またどこかの道で会いましょう
秋田宮城県境あたりの小安峡に素敵なアンティークカフェがあるんですよ
もう3度も行きました、と彼は言っていた
おわり