彼らの旅 私の旅 カモシカ隠遁明け(創作です)

「ちーす!」
「あ、あーーーカモシカさーん!?」

「お、おーカモシカくん!?」
「半年ぶり?何やってたんですかー?ちょー心配してたんですよー!ホントに」

「うん、ちょっとね。隠遁てやつ」
「い、ん、と、ん?て、何ですか?なんで連絡もくれなかったんですかー?」

「え、だって、スマホも解約してたし」
「パソコンだってあるじゃないですかー?」

「え、だって誰からも連絡ひとつ来なかったよね?」
「え?連絡しましたよー」

「来なかったよ〜。だから、誰も私なんて気にしてないのね、ま、楽でいいわ、って思ってたのよ。」
「いんとん中、何してたんですか?」

人のいない時間帯に人のいない場所にバイクで行ってたわ、毎日のように。
おむすびと、温かいお茶をポットに入れたの持って。

夜明け前に出かけて、いろんな場所で日の出を見ながら食べるおむすびは格別よ。
でね、ひとつの真実がわかったの。

日の出を見ながら食べるおむすびは、梅干しが入った塩むすびが一番あうってこと。
海苔もいらない。

日の丸ってあるでしょう?
それって、太陽を意味してるんじゃなくて、白米ご飯に梅干しが乗った状態が先だったんじゃないかって思うの。つまり、日の丸弁当ね。

ご飯と梅干しさえあれば、この国は未来永劫、滅びることは無いだろうという願いが込められているってわけ。

「こめ(米)だけに」
マスターがぼそりと言った。

「ねえ、それより、ハイボールお願い。今夜は知多がいいかな」
「つまみは、あれだな?タコウィンナー乗せナポリタ~ン」

おわり

※お久しぶりです。桜吹雪とオートバイでも、妄想barシリーズは続きます。お楽しみに。

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