
2025年7月5日(土)
ぼくティーダ
昨日の朝おばあさんと
ぼくが会いたかったかみさまのお山に行ってきた

おばあさんは細い山道にビビって一速でノロノロ走るから
ぼく安定しなくてヨロヨロしちゃったよ
おばあさんは神さまにオソナエするからって
お酒とお菓子を大事にリュックに入れてきたんだ
ついでに朝ごはんのおむすびとお茶も買ってきたからオソナエしてから食べようって言ってた

広い駐車場にぼくをとめて鳥居をくぐって山を上って行ったんだけど
こんなにきつかったの忘れてたって
よいしょよいしょきつい〜こわい〜とか言いながら上って行った
熊鈴をチリンチリン鳴らしながらゆっくりゆっくり岩の坂道を上って行った

だから神さまはまた待ちきれなくてぼくに会いに来てくれたんだよ
おまえはしっかり頑張っておるのう
おばあさんをまた連れてきてくれてありがとう
おっと、おばあさんは今日は本堂まで上らないのかな賽銭箱の所でゴソゴソやっておるぞ
神さまは慌てて戻って行った

赤い賽銭箱の屋根にふたを開けたお酒とお茶と袋を開けたお菓子とおむすびは開けないまま並べて
運をいただいたお礼に来ましたありがとうございます
はらいたまえきよめたまえはらいたまえきよめたまえはらいたまえきよめたまえ
おばあさんは実はこの後アイスクリームを食べに行きたかったから新しいお願い事をしなかったんだ
お願いしたら真っ直ぐ家に帰らないといけないからって
カラスも鳴いてたしどこかに熊がいたら大変て
おばあさんはオソナエをさっさとしまって戻ることにしたから

山道こわい〜と言いながらゆっくり下りてくるとき
かみさまがまたぼくのところに戻ってきて言ったんだ
道が険しくてオソナエを持ってくる人があまりおらぬからな
お酒もお菓子もうまかったしわしはとても嬉しいぞ
おばあさんは何の願いをしたのかも忘れたのにお礼だと言っておったぞ
ほんとに可笑しなおばあさんだな、わはははは
わしが記憶しているおばあさんの願いごとは
おまえさんとたくさん旅をしてみんなに喜んでもらえる物語をたくさん書きたいと言っておった気がするが
おばあさんはすっかり忘れておるようだ
でもティーダ、おまえさんとたくさん旅をする気持ちはたくさんあるみたいだから
しっかり走るのだぞ危ないことの無いようにヤタガラスのかみさまとおまえがおばあさんをいさめるのだよ
かみさま、ぼくのこといつもほめてくれてありがとうございます
ぼく頑張っておばあさんといっぱい旅をします
よしよし、おお、おばあさんがやっと戻ってきよったぞ
オソナエのお礼にわしの可愛いおつかいに会わせてあげようかのう
楽しみに待っておるのだぞ
おばあさんにはまだ内緒だぞ、ふふふ

おばあさんはハァハァ言いながら戻ってきて
朝ごはんもまだ食べてなかったから椅子に座っておむすびを美味しそうに食べてる
お茶を飲んでふぅって言ってる時
ぼくの横を何かが動いてるのにおばあさんは気づいた
あ、シカさん!シカさんだ、シカさん!て小さい声で言いながらおばあさんは立ち上がってちょっとビックリしてた
ぼくも横にきたはじめて会う動物に話しかけられてちょっとびっくりしたけど
さっきかみさまが言ってたおつかいに会わせてくれるってこのことなんだなってわかった

あとでおばあさんが教えてくれたんだけどカモシカって言うんだって
ぼくとおんなじくらいの大きさだからなんか友達になれそうだなって思ったんだけど
カモシカはぼくに言ったんだ
おまえシカなの?なんかへんな感じ
それに、なんかぬこ臭いぞ
え、ぼく、シカじゃないよ!
人間にはオートバイとかたんしゃとか二輪とかバイクとかって呼ばれてるんだ
ぬこ臭い?
あ、だってぼく、こないだおばあさんと海の近くの山の中の温泉にお泊りしたとき
夕方からどしゃぶりでおばあさんは雨が降る前にシートかけに来るって言ったのに来なくて

美味しいごちそう食べながら生ビールとか飲んじゃっていい気分になって寝ちゃったんだ
でもどしゃぶりの夜に宿のまわりに住んでるねこたちがいっぱいぼくのところに来て
ぴょんぴょんぼくの上に乗っかって嬉しそうに遊んでた
なにこれ柔らかいよほんわか温かいよ気持ちいーよみんな乗っかってみそ
ねこたちはみんなぼくの上でおどりはじめたからぼく楽しくなっちゃった
おばあさんには内緒にしてたんだけど・・・

ねこたちのどろんこ足のあとが付いてたからバレちゃった
ぼく叱られるかと思ったけどおばあさんは一瞬ぽかんてかたまってタオル出してごしごし拭いてくれた
あーあ、ぬこ祭りね。。。
おしっこ臭くないかしら。。。くんくん
ぼくおしっこ臭くないもん
ねこたちは楽しそうに遊んでいっただけだもん

でもカモシカさんもぬこ臭いって言ってる。。。
あれ、カモシカさん行っちゃった
さすがにおばあさんも気づいたみたいで
かみさまのおつかいだわねって言ってた
おばあさんがスマホで調べたら神社でカモシカさんに会うのってすごいありがたいことなんだって
でもおばあさんそのあとはけっこう冷静でトイレ借りてさあ出発だよって

おばあさんの頭の中にはやっぱりアイスクリームのことしかないみたいで
二口街道(ふたくちかいどう)っていう道をずーっと奥の方までゆっくり走っていってお水の流れるところに行くって決めてたのに途中であきらめて戻ってきた

地図を見たらすぐ近くまで行ってたのになんであきらめたんだろう
それからお店が開く時間にちょうど通りかかってジェラートって言うアイスクリームを1人で食べにいったんだ


おばあさんは満足した顔で戻ってきて
美味しかった~って言ってた
行く途中の信号待ちで鎖骨の下をアリに刺されていたいかゆいって言ってたけど
やっぱり頭の中にはアイスクリームのことばっかりだったみたい

ぼくは山のかみさまに言われた通り
こんなおばあさんともっといっぱい旅をしようと決めたんだ

あ、山のかみさまのお山がこっち側からも見えてるね
あのとんがり山がさっきのかみさまのお山、太白山(たいはくさん)だよっておばあさんが教えてくれた
おわり