
夢の桜ツー実現したが押しゴケ
一応痛かったので念のために診療所へ行くことにした
以前セローで立ちごけした時にお世話になった診療所
診療所の先生もバイク乗りだと知ったのはその時だった
〔以下、バイク先生=バ バイクばあさん=ba〕
バ ◯◯さん、随分久しぶりだね
(バイクの下敷きになったって言って1回来たきり、その後来なかったから心配してたんだけどなあ、俺)
ba はあ
バ 一番痛いとこ指差して
ba ここです
バ あー腫れてるじゃん、何したの?
ba バイク倒れて乗っかったみたいです
バ 激痛?
ba いえ、それほどでも
バ レントゲンね
ba は、はい
バ 折れてるよ
ba え。。。
バ 仕事まだやってんの?
ba はい
(え、覚えてるんだ)
バ うーん、立ったりしゃがんだりは無理だよ
ba え💦どれくらい休まないとダメですか?
バ 2週間はダメだね
ba えー💦
バ 動かすと骨ずれるよ。ずれたら激痛だよ
ba え💦
バ 安静にして、足を心臓より高く上げてね、寝る時とか
ba は、はい
バ 電気かけてってね。また1週間後ね
ba はい

というわけで、私は決まったばかりの主に草取りの仕事をまず1週間休む事にした。
バイク購入後、レッカーサービスの保険に自分の怪我の補償を追加しておいたのは幸いだった。
保険会社の担当者に骨折だったと報告したら、休職しても困らないくらいの補償金がおりると知った。
仕方がない、仕事も次の桜ツーリングも諦めた。
しかし、左足の甲以外に身体に不具合はなく、家で安静にしてるのも限界がある。ましてや、春の爽やかな好天の日々。桜もまだ咲いている。
毎日、自転車ででかけた。神社、桜の公園、食料の買い物、カフェ。なるべく歩く距離を短く。
1年で一番楽しみにしていた季節にバイクに乗れない。12年に一度の幸運年でもある。やりたかったことが、できない。
しかし、生活の不安はない。今できることを、やろうと決めた。
2度目の診察で、さらに1週間の安静を言い渡された。新しい職場をもう1週間休むことにした。
そして私はまた好きな事をする日々を送った。

〔3度目の診察〕
バ (沈黙)動いたでしょ
ba はぁ・・・足、心臓より上にあげて寝てました!
バ なんで動くかなあ
ba え、あんまり痛くないので
バ まあ、そうだろうな
ba はぁ
バ ほら、こことここに余計な骨出来てるでしょ
ba え?カルシウム取りすぎですか?
(シラスとかヤゲンいっぱい食べたし)
バ 動き過ぎ
ba えぇ・・・
バ バイク乗りたい?
ba(即答できず)バイク取りに行かないといけないんです💦
バ どこに?
ba 赤いおじさんです
バ どこの
ba あそこの
バ うーん、まあ、大丈夫じゃない
ba え?乗っていいんですか?
バ 激痛はしったらレッカーしてもらって。じゃあ、2週間後ね。
ba 電気かけに来ていいですか?
バ いいよ

〔翌週 受付にて〕
ba 今日は電気だけお願いします
受 ◯◯さん、電気どーぞ
ba はーい
バ ◯◯さーん、開けるよ
ba あ、先生こんにちは
バ ちゃんと足に電気かけてるね
ba はい (何しに来たん・・・)

[翌週 診察]
バ ◯◯さんね
ba こんにちは
バ 足どお?
ba あ、落ち着いてきました
バ バイク取りに行ったの?
ba あ、はい、行きました
バ 赤いおじさんまで行ったの?
ba はい、足痛くなかったです!
バ まあ、そうだろな、親指のとこだから当たるの
ba はあ
バ (間) バイク乗りたい?
ba(またしても即答できず)
バ 骨くっついたから終わりね
ba え?終わりですか?電気は?
バ 電気も終わり。今日はかけていってね
ba ありがとうございました。。。
先生は今日まで2度も私に聞いた
バイク乗りたい?と
私はなぜ、はい!と答えられなかったのか
何だか気が抜けて
雨の中駅に向かって歩いた
涙が出た
何の涙だろう
何となく寂しい気持ちだった
もう、バイク先生に会えないのか
もっとバイクの話がしたかったな
数年前、秋保で出会ったおせっかいライダーが先生だったのか確かめたかったな
何度目かの診察でなんとなく感じた
問診の口調どっかで聞いたような・・・
尋問のような口調のあの秋保のおせっかいおじさんか???
しかし、先生に会うには
また怪我をしないといけないわけで
それは何としても避けなければならないわけで
駅のカフェでアイスコーヒーを飲みながら
また涙が出た
何だろうこの涙は
休みのたびに桜を見に行く予定が途中で絶たれ
新しい仕事を休むことを余儀なくされ
幸運年幸運月の運を活かして行動し続けるはずの日々が消えた1ヶ月が終わったのだ
だけど、嬉しいという気持ちとも違う
何だかとても寂しい気持ちであることは確かだ

バイク先生さよなら
今度は道の上で会いましょう
おわり